Bibliothèque Napoléon 3
ブール象嵌ブックケース
こちらは1850年ごろ作られたブックケースです。
ブラックのボディに、赤と金のブール象嵌が映える、力強くも繊細で高貴なこの作品。
この美しいブール象嵌を編み出したのが、今からおよそ350年ほど前の17世紀に ルイ14世の宮殿が抱える芸術部門の代表職人だった、アンドレ=シャルル・ブールです。
ブールが宮廷専属の職人になる前は 他国の影響を受け特段パッとしなかったフランスのアート界でしたが、彼は独自のスタイルを積極的に生み出し確立させます。
生み出す作品は総じて独創的で優雅極まりなく、ルイ14世国王を始めあらゆる人物に感銘を与えます。
幼少期よりアートにかけてはどの分野においても他者を圧倒し続けてきたブールが、ルイ14世のお膝元という これ以上ないステージで、その才能を遺憾なく発揮し続け、
それらの作品は宮殿を隅々まで飾り フランス国を背負うアートの形となり、そしてそれまでと一転 各国へも影響を及ぼし、フランスのアートが世界に一目置かれる存在になったのです。
フランス特有のエレガントで繊細な形態はまさに彼が生み出し、のちに18世紀、19世紀と発展しながら続いていったのです。
彼なくしては 現代に受け継がれるフランスアンティークもまったく違ったものになっていたかもしれないのですから、アンドレ=シャルル・ブールこそがフランスインテリア界においてもっとも重要な人物と言っても大袈裟ではないでしょう。
ブール氏が残した功績のなかでも特に、自身の名前が付けられた「ブール象嵌」を創始したことは 一番の偉業ではないでしょうか。
彼が現役の時代にはルイ14世の好みに合うゴージャスなブール象嵌家具がさまざま製作されましたが、誰もが手掛けられるものではないこの複雑極まりない作品は もちろん数少なく、まさに当時のトップ階級の者しか見ることも叶わない稀少なものでした。
その後、流行や時代背景の移り変わりとともにブール象嵌家具の生産数は一旦減りますが、19世紀後半 ナポレオン3世の時代に、再び流行します。
機械も少しずつ導入され アート系家具製作の技術やデザインもピークに達していたその頃には、著名な家具作家たちが競い合うように素晴らしい作品を多数生み出しました。
(とは言え、ブール現役の時代から200年たったその頃においても 一部のトップ職人だけが手掛けられるものでしたから、全体から見れば数は非常に少ないです。)
今回ご紹介のこのブックケースも、19世紀のその頃に作られたもののひとつです。
ガラスをグルリと囲むブール象嵌。
一口にブール象嵌と言えど、その中でもやはりクオリティには差があるものです。
今回の象嵌は実に繊細で複雑極まりなく、とても混雑した迷路のように隙間もないほど 細かにデザインされた真鍮の象嵌は、言葉通り時間が経つのを忘れて見入ってしまう素晴らしさ。
これだけ惜しみない技術が盛り込まれている家具ですから、象嵌以外の部分もおしなべてトップクオリティであることは言わずもがなです。
中の棚板の僅かな側面にも象嵌が施されているのは それだけ細部にまで手を掛けられているからこそであり、ブロンズ装飾の質も素晴らしいのは当然ですね。
ガラスドアのキャビネットは、本はもちろん、食器や銀器、時計やアクセサリー、置物など、お気に入りのコレクションを飾って楽しむことができますので、常に大変人気が高いアイテムです。
大理石トップですので重い胸像やミラー、絵画、また濡れやすい花瓶などどのようなものも気兼ねなく飾れるのも嬉しいですね。
言葉では十分に言い表すことのできないこの美しさ、非常に高い技術、そして私たちがこの作品を目にするまでの 偉大な先人たちの軌跡に想いを馳せ、いつまでも眺めていたくなる芸術品。
ただただ素晴らしく 見るほどに惚れ惚れする、本当に素晴らしい逸品です。
タイプ: ブックケース | スタイル: Louis XIV | 年代: circa 1850 | 輸入国: France |
材質 | ボディ: | 表面: | 仕上げ: ベネシャン ターペンタインニス |
サイズ | 横幅: 82 cm | 奥行: 42 cm | 高さ: 116.5 cm |
商品番号: LPC927 / Sold out | |