こちらはCarrier-Belleuse（カリエ＝ベルーズ）作のビスキュイ像です。

19世紀に活躍した大変著名な彫刻家、ベルーズ。
フランス公式美術展覧会 サロン・ド・パリ へ出展し高い評価を得ながら、同じく著名な芸術家メンバーと共に「ソシエテ・ナショナル・デ・ボザール：フランス国民美術協会」（唯一フランス歴代大統領が後援する団体であり、現代まで実に160年以上続く由緒ある美術団体）を設立、同時に理事も務めあげます。
晩年には国立セーブル陶磁器製作所の芸術監督と工房長も務め、亡くなる2年前1885年には、フランスにある勲章において最も価値があり 現在にも続く 「レジオン・ドヌール勲章」も受勲したという、まさにフランス芸術界のトップ中のトップに君臨した彫刻家です。

今回のビスキュイ像のモデルは、そんな偉大なベルーズが手掛けました。
“ドレープを纏ったNymphと それを囲むPutti”　と題されたこの素晴らしいビスキュイ像。
（※Nymph：ニュンペー、ニンフと呼ばれる精霊。Putti：智天使、アモル などを指すPuttoの複数系）
題されたとおり、ドレープを身にまとったニュンペーと それにまといつく二人のプットで構成された美しい像で、ロココを代表する画家フランソワ・ブーシェの有名な絵画『La Toilette de Vénus』を元に製作したのではないかとも言われており
ニュンペーやプットの表情、ポージング、たゆたうドレープの細かい線など どこをとっても大変にしなやかで美しい、フランスの造形美を存分に味わっていただける優雅極まりない作品です。

歌と踊りを好み 美しい乙女の姿をし、 宿る自然物に恩恵を与えると言われたニュンペー。
恵みの精霊らしい優しい微笑みをたたえたその顔は、見る者を ゆったりと純粋な時間が流れているようななんとも豊かな気持ちにさせてくれます。


白い素焼きのビスキュイ像が空間に及ぼす影響は大変大きなもので、一台飾るだけで一瞬にしてフランスの大風を呼び込みます。
儚く柔らかな質感とエレガントな造形、この華奢で繊細な華やかさがまさにフランスそのものだと 言いたくなるオーラを放っており、驚くほど明るく上品なフランスの空間を作り上げてくれるのです。
私の拙い説明だけではなかなか想像し難いかもしれませんが、お試しいただければ なるほどこういう事かと、深くご納得いただけることをお約束いたします。

先人の素晴らしい技術とイマジネーションが注がれた、美しいビスキュイ像。
この像と共に過ごす時間は、必ず心豊かで満たされたものになるでしょう。

フランスのアートを継承し そしてさらに繁栄させた、偉大なる彫刻家ベルーズの渾身の作品。
この先も永く永く受け継がれていくことを、心より祈っています。


※数カ所修復跡がございます。気になる方は個別にご案内いたしますのでお構いなくお尋ねください

タイプ: ビスキュイ	スタイル:	年代:	輸入国: France
材質	ボディ: ビスキュイ	表面:	仕上げ:
サイズ	横幅: 25 cm	奥行: 19 cm	高さ: 60 cm