こちらは1870年に作られたキャビネットです。

アルモワール・バス（ : 低い洋ダンス）というジャンルの、手ごろなサイズの収納家具..
中には高さ調節できる棚板が備わっており、収納するアイテムによってご自身で自由に区切ってご使用いただける便利な一台です。

その利便性を差し置いて一番に目につくのはやはりこの荘厳なルックス。
豊穣の神バッカスを中心として周りを真鍮のブール象嵌が取り囲み、全体からは凄まじいオーラとそれでいてとても品の良い、エレガントな印象が溢れ出ており
この作品がつくられた19世紀後期、Belle Époque（ベル エポック : 美しい時代、良い時代）と呼ばれ とても華やかで勢いのあったその当時を象徴するかのような、大変ゴージャスな作品です。


こちらを手掛けたのは19世紀に活躍したMathieu Befort。
Befortは父と二人の息子とで活躍した、フランスのアート系家具専門書にも名を残す 大変高名な職人です。
豪華で壮麗なルイ14世様式の家具製作を得意とし、もちろん ルイ14世様式の代名詞と言っても過言ではない ブール象嵌を取り入れた作品も、数多く生み出しました。
そのほかにも非常に独創的でファンシーな芸術作品を生み出した職人一家であり、今回のキャビネットは 息子のうち 弟 Mathieuの作品です。
（Mathieuの作品にはしばしば「Befort Jeune」のサインが残された。：直訳すると 「若いBefort」、「年下のBefort」。）


店主ロホンが仕入れ先で偶然出逢った とあるディーラーから譲り受けたこの作品。
そのディーラーである彼も この素晴らしさ故になかなか売り出せず 自宅で大切に保管していたというこの芸術品を、”あなたになら”ということでロホンに託してくれたのです。

彼の信頼に背かぬよう細部まで丁寧に修復したこの家具。ブロンズ真鍮は輝くゴールドに、ボディ全体は漆黒に染め直し、ニスで艶やかに仕上げ・・。
輝く姿へとよみがえりました。
全面にデザインされたブール象嵌、金メッキが施されたブロンズ装飾、黒い大理石、そしてスクリュー型の脚..見るべきポイントは数多く、すべてに備わる高い芸術性がいつまでも我々を飽きさせません。


高名な製作者の情熱、歴代オーナーの誇り、そしてロホンの修復技術と熱意を見込んで託してくれた、一人のディーラーの期待・・
数多くの人の想いがこの作品にさらに輝きを加え、唯一無二の一台に仕上がっています。

17世紀から続いた フレンチクラシックインテリアの集大成であり最盛期と言っても過言ではない、19世紀後期ナポレオン3世時代。
活気あふれるそんな時代に生み出された、これぞナポレオン3世様式だと言わんばかりの、フランスが世界に誇る芸術作品。
世界中のコレクターを感心させるこの威風堂々とした佇まいを、ぜひご覧ください。

素晴らしい作品は、毎日目にしてもいつも新鮮な驚きと感動を 生涯にわたり与え続けてくれます。
本物が放つオーラとエネルギーを、ぜひご自身で体感していただきたい、そんな至高の一台です。

タイプ: アルモワールバス	スタイル: Napoléon III	年代: circa 1870	輸入国: France
材質	ボディ:	表面:	仕上げ: ベネシャン ターペンタインニス
サイズ	横幅: 87.4 cm	奥行: 43.9 cm	高さ: 114.5 cm