Alphonse Giroux & Cie
アルフォンス-ジル キャビネット
こちらは1860年ごろつくられたディスプレイキャビネットです。
当店でも通年大変人気のある、ガラス扉のキャビネット。本棚として また食器棚として、コレクションを非常に美しく映えさせてくれるお品です。
大きすぎないサイズが日本の邸宅にもぴったりで、また直線のきっちりとしたフォルムがどこにも設置しやすい、大変使い勝手の良い一台です。
この素敵なキャビネットを製作したのは、19世紀にパリで活躍した Alphonse Giroux &Cie:アルフォンス‐ジル。
元々 エクリトワール(書き物をするための道具)や整理ボックスなど デスク上で使用するアイテムや インテリア小物などを販売していたアルフォンス-ジル。
当時より ルイ18世王やシャルル10世王が 子供への Étrennes(日本で言うお年玉)を購入しにくるなど、王族も特別な日に訪れるほどの 大変な高級店でした。
1834年には 小物類だけでなく家具店としても事業登録し、その年のコンペティションでシルバーメダルを獲得。
1838年に息子に代替わりした後にも事業拡大してさらに有名店となり、1839年にも国際万博で再度シルバーメダルを獲得しています。
また当時フランスを統治していた 皇帝ナポレオン3世夫妻が、1855年に家具を、1857年には花瓶、クロック、キャンドルホルダーを購入した. などと大変細かな部分までしっかりと記録が残されていることなどからも、由緒正しい一流ショップであったことは疑いようがありません。
そんなアルフォンス-ジルのキャビネット。今回ロホンの修復でさらに美しい姿に蘇りました。
修復過程ですみずみまで触れ、素材や構造など明らかな質の高さを感じられたのは言うまでもありません。
ブロンズは金メッキされた大変ハイクオリティなもの、木材にも歪みはまったくないのは もう「当然」と言ってもおかしくないのかもしれません(一般的にアンティークではそれは奇跡ともいえることです)。
また扉を開閉すれば その動きはまるで新品の家具のようにスムーズで まったくブレがなく、“一流“が確かに手に伝わってきます。
これまで数えきれないほどの家具を修復してきたロホンの経験上、ソルマニとリンケ(共に説明不要の超一流メイカー)の家具にだけ見られた ある技法が、この ジルのキャビネットにも使われていたことにも驚かされたとのこと。(その技法がどのようなものかは直接お尋ねください)
その他、名高い一流の象嵌士やブロンズメイカーなどの作品のボディ作りもしたりと、19世紀の家具メイカーのうち 僅か数パーセントのトップグループに君臨したアーティスト アルフォンス-ジルが製作した、素晴らしいキャビネットです。
語り継がれる理由はただ一つ、素晴らしい作品を作り上げてきたこと。
そしてその証のひとつである、この美しいキャビネット。
ぜひ実物を見て触れて その素晴らしさを体感していただきたい、至極の作品です。
タイプ: ショーケースキャビネット | スタイル: | 年代: circa 1860 | 輸入国: France - Paris |
材質 | ボディ: オーク | 表面: ローズウッド | 仕上げ: Rempli-ciré |
サイズ | 横幅: 78 cm | 奥行: 40.5 cm | 高さ: 121.5 cm |