Table en coeur
ハートアンティークテーブル
こちらは1786年に作られたカバレテーブルです。
ロココの曲線美が特徴のルイ15世様式から、マリーアントワネットが愛した直線美のルイ16世様式への過渡期であるトランジション様式。
全体はスッキリ整然としていながら脚には緩やかなカーブを残しているのが特徴の一つで、
非常に上品で穏やかなエレガンスを備えた、大変人気のあるスタイルです。
その中でもこちらは貴重な18世紀製作の一台。
随所には、アンティークファンなら思わず頬が緩んでしまう18世紀の片鱗が。
まだすべてが手作業だった時代の 職人の緻密で丁寧な仕事の痕跡を目にするたびに、200年以上も前にこの精巧な作品を製作した職人に感嘆の念を抱きます。
さらに当店での修復過程で、大理石下に製作者「PERIN」と製作年「1786」と書かれていることを発見しました。
ピンポイントで記された製作年のおかげで、このお品が238年前(2024年現在)に作られたものであることがはっきりと証明されたのです。
言葉だけではあまりピンときませんが、238年前と言えば日本は江戸時代のちょうど半ば。時代劇で見るような世界で作られたものが 今も私たちの目の前で輝き続けていると思うと、本当にすごいことです。
木材の強さ、滑らかにカットされた大理石、インレイの緻密さ、そんな時代に美しいブロンズ細工が作られており、今もなお金色に輝いている(もちろんブロンズは経年とともに黒く変色しますが、当店の修復で本来のブロンズの色に磨きなおしています)こと、そしてすべてが朽ちることなく残っていることなどなど、感動するポイントは数えきれません。
もちろんこれはそう簡単なことではなく、何百、何万台と朽ち果ててきた家具の中でこの一台は幸運にも残ってきました。
それはひとえに、製作した職人の真面目な仕事と、何代にも渡るすべてのオーナーが大切に使ってきたおかげです。
今回当工房では、この奇跡を私たちの代で途絶えさせてはいけないという責任感の元、天然の修復材とロホンの丁寧な手仕事で修復を施しました。
ハート形を描いた、なんとも愛らしいこのテーブル。両サイドの引き出しは現役で使うことができ、引き出せばまるで羽を広げた蝶々のような美しい姿を楽しめます。
当工房で命を吹き込んだこのテーブルの新しい歴史が、フランスから遠く離れたこの日本でまた始まります。
この先も30年、50年、100年と、永く永く残っていくことを、心から祈っています。
タイプ: カバレテーブル | スタイル: Transition | 年代: 1786 | 輸入国: France |
材質 | ボディ: | 表面: ローズウッド | 仕上げ: ニス |
サイズ | 横幅: 45 cm | 奥行: 38.5 cm | 高さ: 73 cm |